百年先を見据えた酒造り -酒蔵の県外移転- 気候変動への適応策(北海道)

 忙しい1日を終えて、一杯の酒をゆっくり楽しむ。いいですよね。そんなお酒にも地球温暖化の影響があるなんて、考えたことがありませんでした。

140年以上の歴史を持つ三千櫻酒造が岐阜県から北海道に移転した背景には、地球温暖化の影響もありました。

インタビュー 北海道 酒蔵の県外移転

気候変動適応情報プラットフォーム:
 「百年先を見据えた酒造り -酒蔵の県外移転-」

移転の理由として蔵が老朽化したことがありますが、もう一つは温暖化によって、仕込みの際に行う蒸し米を冷やす作業がやりにくくなってきたことがあるそうです。外気温が高くなってくると、氷を用意しなければならず、その手間とコストが大きな負担になっていたそうです。

そんな時に北海道への移転というアイデアに出会います。北海道は水量が豊かで、水質も良く、なにより外気温が低いため冷却作業にエネルギーをかける必要がなくなったことは、大きなメリットだったようです。

こんな記事を読んでいたら、同じ醸造酒であるワインのことも気になってきました。

もう10年前には「地球温暖化は30年以内にアメリカの高級ワイン産業に多大な影響を与えうる」という記事が出ていました。

スタンフォード大学の研究で「地球温暖化により、2040年までに北カリフォルニアの高級ワイン向けのブドウ畑用地は半減するかもしれない」と発表されていました。そして、今世紀の終わりまでにアメリカ国内のそのような用地の81%が不適格地になるだろう、とも言われていました。

非営利のニュース団体Climate Centralの最近の記事(2021年9月)を見ると、ドキッとするような図があります。

1970年以降の4月から10月までの平均気温の変化 (出典:NOAA/NCEI Climate at a Glance)

赤色が濃いほど気温が上昇していることを示しています。単位は華氏(F)なので、摂氏(C)に置き換えると、例えば2.0°F=1.12°Cであることにご注意ください。

記事によると、気候変動により、高級ワインの生産地が移動する可能性が高い、とあります。というのも、ワイン用のブドウは気温や降水量の変化に対して敏感に反応するからです。

アメリカでは1970年以降、成長期(毎年4月から10月)の平均気温が摂氏1.12°上昇しています。気温の変化によってブドウの糖度、酸味、アルコール度が変化し、ワインの味、つまりは価値そのものを変えてしまいます。

ワイン生産への脅威としては他に山火事、熱波、豪雨、季節外れの霜や干ばつなどが挙げられます。また、冬が短くなったり気温が上昇してくると、害虫による被害も増えることがあります。

その一方で、これまではワイン用ブドウの栽培には適していなかった地域、たとえばイギリスではこの温暖化の影響で栽培ができるようになり、ワイン業界が活気づいています。

おっといけません。お酒を飲むときくらいは、地球温暖化のことなど忘れて楽しく飲みたいものですね。