半導体 脱炭素でも重要な戦略物資

今年2月にクリス ・ミラー著の「半導体戦争 世界最重要テクノロジーをめぐる国家間の攻防」の翻訳本が出版されました。

半導体をめぐる戦いは、1980年代にも日本とアメリカとの間でありました。かなり大雑把に言えば、1970年代に日本の半導体メーカーは生産自動化を強力に推進し、1980年代前半には世界の半導体シェアを急拡大。1986年にはアメリカを抜いて世界一になります。この時の上位3社はNEC、東芝、日立で、上位10社のうち実に6社が日系メーカーでした。しかし、日本企業の隆盛に対するアメリカ半導体企業の反発は70年代終わり頃にはすでに始まっており、日本の輸入障壁や政府補助への批判、ダンピング提訴や「日米半導体協定」締結(1986年9月)を経て、日本の半導体産業の勢いは急速に削がれていった…。そんな歴史があります。

ウクライナ情勢をめぐる動きからも分かるように、経済・産業面だけでなく、軍事的にもその重要性が明らかで、半導体は世界情勢を左右する重要な戦略物資となっています。

アメリカのシンクタンク、戦略国際問題研究所(CSIS)のYouTubeチャンネルでクリス・ミラー氏のインタビューが見られます。

CSIS: Book Event: Chris Miller’s “Chip War: The Fight for the World’s Most Critical Technology” (出版イベント。クリス・ミラー氏のインタビュー)

さて、効率的な電力消費を実現するための「パワー半導体」については、脱炭素を進める上でも重要ですし、日本の競争力が高い分野でもあります。分かりやすい、ちょっといい動画を見つけました。

東芝CM公式:【TOSHIBA】「有村架純の未来ラボ パワー半導体」篇(90秒)

一般社団法人 日本半導体製造装置協会が主催するセミナーがありますので、ご案内します。

名称: カーボンニュートラルの具体的取り組みと将来の技術動向
    ~今できる取り組みのスタートの仕方 と課題の議論

日時: 2023年3月17日(金)13:30~18:30
会場: ナガセグローバル人財開発センター (東京)/オンライン
主催: 一般社団法人 日本半導体製造装置協会
参加費: 無料
主な内容:(下記HPより抜粋)
・キーノートスピーチ
カーボンニュートラルにどう取り組んだらよいのでしょうか?本日は多角的視点で講演と議論を行うシンポジウムです。

・第一部 
半導体製造装置事業におけるCO2排出量削減の取り組み
株式会社SCREENセミコンダクターソリューションズ 渋川 潤 様
脱炭素への関心が急激に高まる中、一方では半導体デバイスの需要が世界規模で増加しています。半導体デバイスの需要や依存度が高まるにつれて、製造工程におけるCO2排出量削減が、半導体業界全体に共通する課題となっています。本講演では、これら半導体製造装置事業におけるCO2排出量削減の取り組み、特に製品製造から廃棄までのライフサイクル全般におけるCO2の算定・削減への取り組みについて、現状の課題と合わせて紹介致します。

・第二部 
Part1 カーボンニュートラルを取り巻く現状と東京電力グループの取組みについて
東京電力エナジーパートナー株式会社 福田 敦 様
カーボンニュートラルを取り巻く環境、カーボンニュートラル実現に向けた電力セクター・東京電力グループの取り組み、東京電力エナジーパートナーがお客さまにご提供できるカーボンニュートラルソリューションや再エネメニューについてご紹介いたします。

Part2 悲観するか楽観するか
地熱技術開発株式会社 大久保 泰邦 様
21世紀に入り石油の枯渇が叫ばれた。しかし今は再生可能エネルギーで世界は救われるという意識が広まっている。 本当だろうか。カーボンニュートラルがなぜ登場したのか、今後世界はどうなるのか、考察する。

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